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北海道厳冬期雪中ツーリング その9

天塩の道の駅でキャンプしたところまで書いた。

さて、この日の総距離は、朝、美深のキャンプ場を出発し、40号をひたすら北上。
稚内から宗谷岬、再び稚内へ戻って40号を南下して幌延から天塩へ出た。




























地図上では合計で258kmだった。

この日も良く走った一日だった。
そして、いろいろあった。
転倒してトラックにひかれかけたり・・・
誰もいない平原のど真ん中でパンク修理したり・・・
時間ロスしたものの、感動の宗谷岬にたどり着いたり・・・
やっと道の駅、天塩でゆっくりと休める、と思ってテントを張った。



しかし、この道の駅、これまでどんな方々がテントを張ったのでしょう・・・・

トイレの中には
「家庭ごみを捨てる人がいるのでゴミ箱は撤去しました。」
とか、
「洗面所で洗濯禁止」
とか
「鍋を洗うのは禁止」
とか、
およそ、野宿ライダーがしそうなことが全部禁止されている。
きっと、マナーの悪いライダーがいたのだろう。
どうも、そんなことをたくさん書かれると、ここに泊まるのが気が引ける。

ここではゴミは一切捨てず。
鍋も洗わず。
もちろん、洗濯もしていない。

キャンプするのに、水道が別になくても大丈夫だ。
トイレもなんとかなる。
一番残念なのが、ゴミ箱がないこと。
その場合、バイクに生ごみとかを積んで旅を続けなくてはならなくなる。・・・・

さて、天塩で鍋をたらふく食べて、酒を飲んで、とっとと寝てしまった。
朝、目覚めると、とてつもなく寒い!!!
おお、寒い!!!
いったい何度だ?
テント内に置いている温度計を見ると・・・・
なんと、エラー表示!!

この温度計は何度まで計れるのか?
外に出てバイクの温度計を調べると・・・



マイナス17度!!

テント内の温度計は室内用なので、どうやらマイナス10度までしか計れないようだ。
ということは・・・・
テント内はマイナス10度以下!!
そりゃ、寒いわい!!

テント内に置いていたコッフェルの中の水は・・・



完全に凍っている。まあ、当然だ。
ガスで溶かしてお湯にする。
家庭用ボンベを使用するSOTOのコンロは、火は着くものの、炎は弱い。
時間が結構掛かる。
それでも徐々に沸きだし、湯気が上がっていく。
一気にテントが暖かくなって、マイナス5度くらいに・・・・笑
湯気は一瞬、テントを濡らすのだが、コンロを消すとすぐに凍りだす。

日中を含めて温度が常に氷点下の場所。
バイクに積んだ荷物も常に氷点下。
一度でも濡れたものは絶対に乾かない。
テントも凍れば、凍ったきり。
テントを片付けるときも、テント内には細かい砂のような氷の結晶がたまっている。
これをビーチでテントを張った時に砂を払うように結晶を払う。
それでもすべては取りきれない。
でも、大丈夫。
ずっと、氷点下のままだから、もう一度テントを張った時も結晶のままだ。

テントを片付けて出発する。
相変わらず気温はマイナス17度前後。
今日も天気は良い。
やはり、晴れた日の朝は、超冷えるようだ。
本日の針路は、再び北上してオロロンラインを目指す。
電柱もない、ひたすら一直線の道。
夏には何度も通ったが、真冬のオロロンラインを見てみたい。



オトンルイ風力発電所
28基の風力発電機が並ぶ。



パノラマで撮ると、なかなか壮大ではないか!

そして、さらにさらに北上を続ける。

そして、目の前に地平線まで続く道が現れた。



あ、俺のせいで奥が見えない・・・・





























これなら見える!

ここまで来ると、車もほとんど来ない。
たまに走ってくる車るあるが、さて、いったいどこへ行くのだろうか・・・・

遠くに雪雲が見えだし、徐々に近づいてくる。
やはり、北上するのはここまでにして、また南下して海沿いを走って行こう。

橋を渡った。
ん?橋?
川なんかあった?





どうやら、これが川だそうです。
よくわかりません・・・・

天塩を通り抜け、富士見を抜けた。
しょさんべつを通り抜けようとしたとき、「温泉」の文字が・・・・
ああ、温泉・・・
温泉にはどうしても惹きつけられる。
どうしよう、ちょっとだけ寄ってみるか!



露天風呂もあるらしい。
入ってみた。



おお、露天風呂から、かような景色が眺められるのか!
しかし・・・・・
濡れた身体を、立ち上がって外気にさらすのはとてつもなく辛い!
ゆっくり、堪能することはさすがに無理であった。

実は初日からバラクラバ(目出し帽)はしていなかった。
顎までネックウォーマーで覆っただけだった。
常に隙間から寒風が吹き上げているように感じた。
そして、頬骨のあたりに痛みを感じだした。
はじめは、雪だらけだから雪焼けしたのだろう、と考えていた。
ところが、どんどんと痛みが増してくる。
途中からバラクラバをしだすのだが、適当にかぶっただけでは頬骨まで隠れない。
痛みは更に強くなり、肌の色が黒ずんできた。
三日目のこの日、ようやく気付いた。
これは日焼けではなくて、凍傷だと!

頬骨のあたりは皮膚のすぐ下が骨、肉もないし、おそらく血流も少ないのだろう。
そういうところから冷えて凍傷になっていくのだ。
温泉で温めても、痛みは消えない。
さらに南の町、羽幌で薬局に入って薬を買った。



しばらくはこれを塗り続けよう。

当初、日程的にはあと1泊する計画だった。
今日はこのまま距離を稼いで、なるべく帰りのフェリーを予約した小樽の近くで1泊、
明日はニセコあたりの温泉をいくつか巡ろうかと考えていた。

しかし、大きな目的を達成してしまった今、実は他にやりたいことがなくなってしまった。
温泉?すでにいくつか入ったし、もういいか・・・
観光?興味なし・・・
それよりも、早く帰りたい。
自分の正直な気持ちはそうだった。
そうだ、俺は目的を果たしたので、もう帰りたいと思っているのだ!!

なら、帰ろう!
走りながら、徐々に意志が固まっていく。
しかし、今日、小樽発のフェリーはない。
今日あるのは苫小牧からのフェリーだけだ。
ここから苫小牧?
かなりあるだろう。
走れるか?
フェリーは23時30分発。
フェリー乗り場に電話を入れてみた。
22時までに来れば変更は可能だという。
ここは増毛
その時点で16時30分。
距離は170キロ以上ある。
よし、今から休まず走れば21時ごろには到着するだろう。

その瞬間、火がついた。
ひたすら走った。
休まず走った。
海岸線のワインディング、
山岳路の氷結路面、
走った。
走った。
走り続けた。

I was born to ride.

そう、俺は走っているときが一番楽しいのだ。
だったら、観光とか、美味しい飯とか、そんな面倒なこと何一つ、しなくていい。
走り続ければいいではないか!
飯なんて、食ってしまえばすぐに忘れる。
味の記憶なんて曖昧なものだ。
それよりも全身で受けた強烈な刺激の方がはるかに記憶にとどまる。
それを俺は知っている。
だから、少々しんどくたって構わない。
そのほうが記憶に深く刻まれるのだ。

太陽が日本海に沈み、そしてあたりの色彩は徐々に失われ、暗闇となった。
それでも走り続ける。
パワーのないハンターは常にアクセル全開。
徐々にギアの入りが悪くなってきている。
オイルが劣化してきたか?
そりゃそうだ、ここまで1000kmほどの間、ひたすら全開で走り続けているのだ。
あと少しだ、頑張れ!
自分自身の肉体も、バイクもすでに限界に達しようとしているのが分かる。

渋滞の札幌は無駄以外の何物でもなかった。
しかし、避けては苫小牧へは行けない。
辛抱強く走り続ける。

フェリー乗り場まであと10kmの表示を目にしたとき、初めて飯を食おうと思った。
一番最初に目にした店に飛び込んだ。



ラーメンだった。
思えば、北海道に脚を踏み入れてから、お金を出して食事を取るのはこれが初めてだった。
この3日間、朝飯はパン、夜は自炊。昼間に休むのは時間がもったいないので昼飯は全部抜きだった。

ああ、これが今回、唯一の北海道の味か・・・・

食べ終わると、時間は残すところわずか。
フェリー乗り場へ急ぐ。



間に合った。
ひたすら走り続けた。

どれくらい走ったのだろうか?



天塩からオロロンラインを往復しているので、この距離プラス35km、合計375kmといったところか・・・
ハンターカブで一部雪道を走る距離としてはこれが限界だ。

すべてが疲れ切ってフェリーに乗り込んだ。
旅が終わった。
全部、終わった。

急に体が軽くなって、夢の中へもぐりこんだ。

おしまい。



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コメント

No title

雪の降る冬期はバイクはお休みと普通に思っていましたが
何が何が遊べるじゃあないですか!! 目から鱗です

実際 我が家から一時間もかからない場所は未だに道路には雪ですし スキー場だってあるような場所ですから

今回のdeltaさんの旅で 色々と冬期のバイク遊びの可能性を発見しました
★ただし マイナス17度でのキャンプなどと言う強者にはなれません(笑)

No title

> 47uF16vさん

元気があればなんでもできる!
と、猪木も言ってますから

No title

やぶちゃん…本当に凄すぎる…😭

No title

> usa*****さん
そうですね、この頃のワタシはどうしたんでしょう?
頭がおかしかったのかな?ww

No title

> deltaさん
コメント返してもらってありがとうです

頭 おかしくないです✨😆
男性だし。バイク乗りだし。 いつかは行きたい!って憧れて…
でも 誰でも 叶うコトじゃないですもんね

一人で 楽しめる 強さとか 技量とか
それまでに 積んできた経験があるからなのでしょうね。羨ましいです✨

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