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北海道厳冬期雪中ツーリング その7

その7
北海道2日目の続きです。

危機一髪!
なんとかトラックの下敷から免れ、
上下に行き交う車の冷たい視線を浴びながら、センターライン上に倒れたバイクを引き起こした。
バイクにも、自分の身体にも不調はない。
再び、バイクにまたがって走り出した。







北上するにつれ、町はだんだんと少なくなり、車の数も減ってきた。
道からの景色はこんな様子。
本当に天気が良くて幸運だ。
この景色も吹雪いていたりしたものなら全く見ることもできなかっただろう。
ついてるぜ!

そんな風景を眺めながら走っていると、
なんだか後輪がズルズル滑りだしてゴトンゴトンと振動が伝わる。
お?パンクか?
リアタイヤはぺちゃんこだった。

辺りはホンマに何もない。
雪の平原が広がるだけ…
とほほほ…
仕方がない。修理するしかない。
一応、念のためにポンプで空気を入れてみる。
ゲージの圧力は上がっていく。
大穴が開いていたらタイヤは膨らみもしないから、もしかして、少しずつ抜けてこうなっただけ?
などと浅はかな希望でそのまま走ってみたが100mも進まぬうちに、またズルズルと滑りタイヤはぺちゃんこ…

おお、やはりパンクか、
しかし、俺は今度もついてるぞ!
天気が良い午前中だ!
これが吹雪の中、夕暮れ間近だったら目も当てられない。
外したナットがあっという間に雪に埋もれて無くなったりしたら、それこそ、完全に立ち往生!

おうじょう~しまっせ~チッチキチ~
どころではないのだ。
そのまま、道端でビバーグとか、そういったレベルなのだ。
ああ、なんという幸運!

と、元気よくパンク修理に取り掛かるのだった。







パンクの原因はほぼわかっている。
空気圧の下げすぎだ。

スパイクの食いつきをよくするためと、氷の段差にタイヤが弾かれないために空気圧を落としたのだが、
そうするとタイヤ自体をリムに押し付ける力が弱くなり、タイヤが徐々にずれていく。
すると、タイヤチューブも引っ張られてずれて、最後にはどこかが破れる。

タイヤを外すときにチューブを見てみると、チューブはタイヤに引きずられて回転し、ちょうどバルブのところでZ形に折れていた。
なるほど、これではパンクもするわい!

チューブを予備のものに交換して組み上げた。
なんとか形にはなったが、普段からタイヤ交換をやっているわけではないので時間は掛かる。
せっかく昨日、充分な距離を稼いだはずが、ここで大きくロスタイムとなった。
なんだか、途中からラリーにでも参加している気分になってきた。

さあ、ロスを取り返すぞ!

ガンガンと北上を続ける。
路面はどんどんと白く変わっていくが、まだ走れる。
アクセルを開け続ける。
夏はなんてことのない道が、冬は恐ろしく姿を変える。
ひたすら氷の道が続くだけたった。

稚内にたどり着いた。
当然だが、ここは大きな街。
大勢の人たちが暮らす。
オートバックスもあればホームセンターもある。
それまでの秘境感は一瞬で失せるが、安心感もある。
ここまでくれば、何かあってもなんとかなる。
あとはゴールを目指すだけだ。
稚内からは海岸線を走る。





海が信じられないほど荒れている。大波があちこちでぶつかり合っている。
まるで台風の海を眺めているようだ。
風も驚くほど強い。
バイクを風上に斜めに倒しながら走る。
ふと、風が弱まる瞬間、風上に吸い込まれるような感覚が襲う。
まっすぐ走ることがこれほど難しいのか…

風は斜め前方から吹いている。
速度は50キロ程度しかでない。
あと少し!がんばれ!
自分を鼓舞しながら走り続ける。
すると、見えた!
ついにゴールの宗谷岬が目の前に現れた。
ヘルメットの中で雄叫びをあげた!
うおおおおお!
何度も吠え続けた!
涙が自然に溢れ出した。
その涙が滴りながら凍っていく。

宗谷岬
なんてことのない観光地だ。
夏場には何度も訪れた。
来るたびに、人が多くてイマイチやな、
そんな感想しか持てなかったこの場所。
しかし、今はここに立つだけで心は震え、雄叫びを上げることを止められない自分がいる。
ついにやった。
やったぞ!
これほどの嬉しさはいつ以来なのだろうか。
これが生きているという実感なのだ。
人生でこれほど嬉しい感動はそう何度もないだろう。
いくら文字で書き起こそうとしても、表しきれない。
百分の一すら、ここに書くことはできない。

日本最北端の地の碑の前で、
何度も何度もガッツポーズで叫び続けた。












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コメント

No title

目的地は最北端の宗谷岬でしたか!!

この季節 バイクで宗谷岬を目指す馬鹿野郎がいるとは....(笑)

No title

> 47uF16vさん
どうですか?ここまで馬鹿だとは知らなかったでしょう?笑

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