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Chris Birch という男 その6

途中、追記あり}

クリスの講義は本当に丁寧で論理的だった。
これが長嶋のような天才系だったらどうだっただろう・・・・
「こうですね~バットをグッと構えてですね~ボールをガッとにらんで、ダッと足を踏んで、バンとバットを振るんですね~、は~い」
きっと、何もわからないままだっただろう。
実は大変失礼ながら、クリスにもその程度の期待しかしていなかった。
しかし、その期待は大きく良い方向に裏切られ、懇切丁寧にこちらが理解できるまでしっかりとしたレッスンが続いた。
ということはクリス自身は実は天才タイプではなく、しっかりと論理的に考えながらライディングを突き詰めてきたのだろうか????
それは良くはわからないが、とにかく素晴らしいことには変わりはない。

屋外へ出て、各人のバイクのチェックも行われた。

私のバイクをクリスがチェックする。
リアブレーキペダルが下過ぎるとのことで、なんと驚くことにクリス自身が調節してくれることとなった。



ところが私のバイクは買ってから2年半、そこに油をさしたこともなく、調整もしたこともないため、
カチカチに固着していて、クリスは大変な苦労をしていた。
他にも参加者それぞれのバイクを丁寧にチェックして回る。



本当に素晴らしい先生だ。
「せんせ~~い!」と叫んで、その胸に飛び込みたくなった。

タイヤ空気圧
ほかのどんな質問にたいしても具体的な回答ができるのだが、
タイヤの空気圧に関してだけは明確な答えを出すことはできない。
なぜなら、タイヤの空気圧に関しては、その路面状況やタイヤ自体の硬さが関係するからだ。
砂利ダート、砂地、泥地・・・それぞれの路面によって空気圧は異なる。
また、タイヤは製品ごとにそのサイドウォールの硬さも違い、一概には言えない。
まず、フロントはダートでタイヤが弾かれるように感じるなら少し下げる。
すると、少しグリップが出てくると感じるだろう。下げすぎると今度は滑るように感じる。
また、フロントを下げすぎるとリムを傷める危険もある。
アドベンチャーは特に車重が重いため、あまり低すぎると良くない。
チューブレスタイヤの目安としては、フロントは2.0kgまで、リアは1.5kg程度までなら下げられる。
ただし、泥地では特に登坂の場合などは1.0kg以下まで下げて脱出する場合もある。
しかし、その後は必ずすぐに空気を足してあげる必要がある。
タイヤは製品ごとに硬さが違うことは述べたが、エンデューロタイヤなどは特に硬い。
そのため、空気を完全に抜いても大丈夫なものもある。
よって、先の目安は状況や製品によって大きく左右されるものだ。
私もこのコースを走りながら空気圧を合わせた。しかし、計っていないので数値は知らない。
 
ということらしい・・・・
結局、こればかりは経験を積んでいかないと分からないから、自分自身で走りこんでいくしかないようだ。
 
今度は各人のタイヤの空気をクリスがチェックして回ってくれた。
私のタイヤはアナキーワイルド。このタイヤをクリスが手のひらで押しながら
「もっと抜け、もっと抜け」
結局、私のタイヤの場合、クリスの言うままに調整後に空気圧を測定すると、フロント1.7kg、リアが1.4kgとなった。
すでにこの時点で目安の数値と違っているので、いかに製品によってその値が違ってくるか、ということだろう。
先生の言ってたことと違うけど、先生が見てくれたんだから大丈夫!と思うしかない。
ロード走行の場合は必ずリアのほうが高くなると思われるが、オフロードの場合は必ずしもそうとは言えないようだ。
今回のセッティングもフロントの方が高い。これはフロントの方がリムを傷める危険が高いからと思われる。
この数値を忘れないようにして、状況に合わせてセッティングしていくしかないようだ。
ただ、F1.7kgは排水溝が道を横断している箇所がたくさんある林道などでは大変危険に思われる・・・
すでにフロントリムを傷めている仲間もいるので注意が必要だろう。
 
コンピューターセッティング
ドライブモードはオフロードで問題ない。
KTMアドベンチャーのABSモードは非常に優秀だ。
まず、オフロードを走る前に、上下カーソルキーを押してMTC/ABSモード設定画面を表示させる。
セットボタンを押して画面を固定。上下カーソルキーを押して一番下のABSモード設定を選択する。
ABSモードはキーをオンにしたとき、必ずROADになっている。
セットボタンを長押しする。「RELEASE BOTTAN」が表示されたらセットボタンを離す。
するとABSモードは「OFFROAD」と変わっている。
この状態であれば、リアタイヤはアクセルに合わせて自由に空転することができ、
また、ブレーキング時もリアをロックさせた状態でもフロントはABS機能が働き、十分に安全である。
このKTMのABSオフロードモードはビッグオフの中でももっとも優秀な働きをする。
ほぼ、どのような状況であってもこのABSオフロードモードを信頼してくれて構わない。
ただし、必ずキーをオフにするとモード設定はクリアされロードモードに戻るように設計されている。
(これはヨーロッパの安全基準に合わせ、キーオンの初期設定はABSが前後オンでなければならないようです。)
以前、このバイクに乗って湖に面した高台でキーオフし、写真を撮影した後、設定を変えるのを忘れてキーオン、
斜面を下りだしたらABSが前後オンになっていて、そのまま止まれずに湖へダイブしたライダーがいた・・・・
なので、必ずキーオンにしたらABS設定を確認するように心がけてください。
また、KTMではオフロードドングルというABS設定用のパーツが売られている。
このパーツを使用すれば、ABS設定は前回の設定が維持されるように機能する。
(あれ?お商売のお話??)
ただし、これはレース用パーツなので積極的には販売していない。
(あ、そうなんだ)
しかもKTMさんは今回、このパーツを現地には持ってきていなかった。
持ってきていたら、現地で全員が買ったことでしょう・・・悔しがっておりました。
それほど、毎回設定画面を開いて設定し直すのは面倒臭いことなのでした・・・・
 
状況によってはMTC:オフ、ABS:オフ、どちらもオフにしても良い。
ただし、KTMのオフロードモードは非常に優れているので、オフにする必要はあまりない。
 
ということでした。

ブレーキング
リアブレーキはABS設定を解除した。
しかし、リアブレーキは減速のために使用するものではない。
あくまでも減速はフロントブレーキで行う。リアブレーキは姿勢制御のためのものだ。
フロントブレーキで減速、リアブレーキで姿勢制御だ。
 
この場合の姿勢制御とはテールスライドのことだと思う。
 

いよいよ、実際の乗車でのコーチングが始まった。
一つのことを教えるのに、必ず一度止まって、全員を集めてから説明する。そして、それを実践する。
ひたすら、これを繰り返す。一度のたくさんは教えない。やらせない。
ひとつずつ、本当に丁寧に進められていく。



まずはスタンディングからシッティングへの姿勢変化。
(実は順序はあまりはっきりと記憶していない。でも順序よりも内容が大切なので)
小型のオフロードバイクではタンクが小さく、シートはかなり前方まである。
タンクの上までシートが覆っているタイプもある。
これは状況によって出来るだけ前に乗車して、フロント加重を増やすためだ。
しかし、アドベンチャーバイクはそれほど前には座れない。前方には大きなタンクがあるからだ。
そしてシッティングではそのシートのできるだけ前方に座る。これはフロントタイヤに大きく加重するためだ。
小型バイクほどは前には座れないが、そもそもの車体重量が大きいため、これくらいで十分だ。
ただし、スタンディングからそのままシートへ座ると、かなり後ろに座ってしまうことになる。
よって、スタンディングからシッティングへ移行する場合、腰は一直線に真下に下ろし、ペダルの真上に来るようにする。
イメージは膝を前へ突き出すように座ることだ。

そして、シッティングでのコーナリング。
この場合、お尻を半分以上コーナーのアウト側にずらし、上半身もアウトへ倒す。
するとその状態でバランスを取るためには必然的にバイクはイン側に倒すこととなる。
そこで初めてバイクが曲がることができる。
この時、腕には力は全く入っていない。添えているだけだ。
アウトの膝はしっかりとタンクに当ててインへ向けて押さえる。イン側の膝はフリーで加重もない。
その状態をキープながら各自、ぐるぐると回り続ける。
右回りができるようになったら左回り、8の字と試みる。
この間、クリス先生はしっかりと生徒の様子を見ており、できていない生徒を呼んではアドバイスをする。
ただ、大変歯がゆいのはクリスの英語をすべては理解できないため、常にタイチをそばにおいて訳してもらわなければならないことだ。

続いてスタンディングでのコーナリング。
この場合も膝から上をしっかりとアウト側に出す。
分厚い1190ccのバイクに立ち姿勢でまたがったまま、ケツを横に大きく出すことの難しさよ!
なかなか、その姿勢が決まらない。
そして、ケツをアウトに出したら頭もアウトに出す。当然、左コーナーなら左手を大きく伸ばし、右肘は曲げてハンドルバーを左へ突き出すような姿勢を取ることとなる。
この姿勢が完璧なら、当然バイクは左に大きく傾く。そうでなければ右へ倒れてしまうだろう。
出来るだけケツと頭を右外に出せば、バイクは左に小さく曲がれるようになる。
これをひたすら繰り返す。

オンロードならばバイクの傾きと同じ傾きで身体が一直線でも構わない。
ただ、オフロードではバイクはリアがスライドしてしまう。いや、させなければ曲がらない。
このスライドをコントロールする技術を習得することがオフロード上達への近道だ。
もし、オンロードと同様、バイクと身体が一直線だった場合、
リアがスライドしてバイクがアウトに流れた場合、上半身はイン側に残されてしまう。
するとインに重心が移動してしまうことになり、そのままイン側に転倒してしまう。
ところが上半身がアウトにあった場合、スライドしてバイクがアウトに流れてもバイクは身体に寄ってくるだけだ。
身体がインにいくまでにわずかだが時間が稼げる。その間にいろんなコントロールができる。
確かにその通りだ。物理的にも理に適っている。バイクが身体の重心を越えてアウトへ出るまでにコンマ何秒かの時間が発生する。その間にわずかだが操作は可能なはずだ。

この「時間を作ってコントロールできることを増やす」という表現をクリスは何度も使っていた。
おそらく、このことがオフロードバイク上達の象徴なのだろう。
いかに時間を稼いで、その間にコントロールの方法を計算し、アクセルを調整するのか、ブレーキを踏むのか、
それらを一瞬に見極めて対処していくのだろう。非常に論理的でためになる。












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コメント

No title

はじめまして
リーンアウトの意味
よいお話を聞きました。
ありがとうございます。

No title

> dor*f*raさん
最初に聞いたとき、私も大変感心いたしました。
これは是非、記録に残さねば!と思った次第です。

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